リテリング(本文の内容を自分の言葉で語り直す活動)は、うまくいけば読解の総仕上げになりますが、いきなりやらせると「本文の丸暗記」か「沈黙」に終わります。カギは、支援を1段ずつ外していく段階設計です。この記事は、日本語メモ→絵→キーワード→無支援という支援の外し方を段階表にまとめ、丸暗記でも棒読みでもないリテリングの育て方を解説します。
この方法で解決できる悩み
- リテリングをやらせると、本文の丸暗記か沈黙になる
- 支援をどう与え、どう外していくか設計できない
- 「自分の言葉で」と言っても、生徒が何をすればいいか分からない
リテリングとは、そして「なぜ効く」か
リテリングは、読んだ本文を閉じて、内容を自分の言葉で語り直す活動です。読解が「わかった」で止まらず、内容を再構成して産出するため、読む力・話す力・書く力が同時に育ちます。ただし負荷が高いので、支援なしでいきなりは無理。支援の量を「多い→少ない」に設計することが成否を分けます。
支援を外す4段階
同じ本文を、支援を減らしながら複数回リテリングさせます。
| 段階 | 支援 | 生徒の負荷 | ねらい |
|---|---|---|---|
| ステップ1 | 日本語メモを見て英語で | 低 | 内容の流れをつかむ |
| ステップ2 | 絵・図(挿絵や自作の4コマ)を見て | 中低 | 語順を自力で組む |
| ステップ3 | キーワード3〜5語だけ見て | 中高 | 表現を自分で選ぶ |
| ステップ4 | 何も見ずに | 高 | 自分の言葉で再構成 |
全員が同じ日にステップ4まで行く必要はありません。 苦手な生徒はステップ2で「言えた」を、得意な生徒はステップ4へ。同じ活動で全員に手応えを持たせられます。
各段階のポイント
ステップ1: 日本語メモ→英語
本文の流れを日本語の短いメモ(3〜4項目)にしておき、それを見ながら英語で語ります。まだ「思い出す」より「言い換える」段階。ここで詰まる生徒には、本文をもう一度読ませます。
ステップ2: 絵を見て
挿絵や、教師が用意した簡単な4コマ絵を手がかりに語ります。日本語という支えを外し、視覚情報だけにすることで、語順を自分で組む力が要求されます。
ステップ3: キーワードだけ
自分でキーワードを3〜5語選び(ここが指導のしどころ)、それだけを見て語ります。動詞を1語入れると語りやすくなるという助言が効きます。名詞だけ選ぶ生徒が多いので、そこを一言。
ステップ4: 無支援
何も見ずに語ります。完璧な再現でなくてよい、要点が自分の言葉で言えれば成功、と基準を伝えます。丸暗記の再生とは別物であることを、評価の観点で示します。
授業での回し方
1コマで全段階をやるのではなく、単元の本文学習の中で数時間かけて段階を上げます。ペアで交互に語り、聞き手はキーワードをメモする(聞く必然性を作る)と、活動が締まります。
本文の授業シリーズ
リテリングは本文の授業の総仕上げで、オーラル・イントロダクション→内容理解の発問→音読の後に置きます。汎用「本文パート攻略シート・中3版」のリテリング欄(キーワード3語+3段階チェック)は、この段階表のステップ3〜4を1枚に落とし込んだものです。語り直した内容をそのまま書けば、本文の要約ライティングにもつながります。